内装施工時のシックハウス対策のマニュアル
シックハウス問題とリフォーム、内装工事、建材等は大きな関わりがあります。そのため内装仕上げ工事の施工者が、居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置を定めた法令を守るとともに、法令に定めのない材料等を使用する場合にも、工事に伴い居住者に室内空気質の汚染による健康被害が起こることの無いよう、施工者がなすべきことを明記し、この方法を実施することで、お客様に健康で、快適な居住空間をお届けすることを目的にしたシックハウス対策マニュアルです。
契約時及び事前の準備等
施工者の基本的な姿勢
内装仕上げ工事にあたっては、日本建築学会制定の「清浄空気・建築憲章」の主旨により、自らの工事でシックハウス問題は決して起こさない。という強い意志をもって万事を処することとします。
シックハウス対策に関する法令等の認識
1.内装施工者が認識していなければならないシックハウス対策に関する法令等は次のとおりです。
①厚生労働省が設定した化学物質の室内濃度の指針値
②建築基準法第28条の2居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置、及びこれに基づく施工令、告示等
③文部科学省が定める学校環境の基準
④建築物における衛生的環境の確保に関する法律
⑤住宅の品質確保の促進等に関する法律
2.建築基準法施工令第20条の5化学物質の発散に対する衛生上の措置に関する技術的基準の要旨を次に揚げる。
ホルムアルデヒド発散建築材料の使用制限
居室に設けられた制限の確認
施工に当たっては、当該居室に設けられたホルムアルデヒド発散建材の制限を確認し、法令の定めに適合する材料・工法を選択する。この際、当該居室の換気回数が施主又は管理者より正確に指示されないときは、換気回数が最も少ない場合に設けられた基準に適合するようにする。(当該=その)
居住者の健康状態の把握
工事の受注に察しては、居住者の家族構成、暮らし方、健康状態等を伺い、通常の資材、通常の施工法で支障のないことを判断する。問題がある場合は、施主及び居住者との相談の上で資材・庫工法を選択する。
下地、基礎、床下の仕様の確認
内装工事で直接対象となる下地、基礎、床下等については、次の事項を確認して、問題がある場合は、施主及び居住者と相談して対策をとる。
①下地についてはホルムアルデヒド発散の等級を確認する。
②基礎・床下の仕様の確認。木材保存材(現場施工用)、防蟻剤等
③前記各号は、施工後5年以上経過したものについては、建築基準法では発散建材から除かれていることを報告する。ただし、ホルムアルデヒドについては、法規制の対象にならないものでも水分の影響を受けると加水分解により発散する場合もあるので、その情報はお伝えしておくのがよいです。
資材・副資材・工法の選択と承認
1.仕上げに用いる資材類は、施主及び居住者の要求に基づいて選択されますが、その選択に察しては、施工者側は各種資材、副資材、類について、ホルムアルデヒド発散建材か否か、発散建材ならばJIS JAS規格、国土交通大臣の認定、業界団体等の
ホルムアルデヒド発散区分表示等の確認を行い、その資材を施主及び居住者に提出するもとする。
2.施主及び居住者との打ち合わせで候補に挙げられた資材、副資材、工法を次のとうな方法で、居住者に示し、問題のないことを確かめるとともに、その承認を得て記録に残すこととする。
①候補の資材類の現物サンプルを提出し、居住者に手にとってもらうようにする。できれば数日間お手元に置いて頂き、確かめて頂く。
②用いる接着剤については、容器のふた等をあけ確認して頂く。
③その他の副資材についても、現物サンプルの提出、必要データの提出を行い作業中に問題が感じられるものについては、できるだけ詳しく説明を行うこととする。
④承認を得た記録については、使用材料の一覧表、もしくは、施工計画書を提出する場合は、その書面への承認印をもって代えることができる。
工期の設定
工期の設定は、次のことを考慮して行う。
①溶剤等の揮発性化合物を用いて施工するものは、十分な乾燥、換気時間がとれて、他の仕上げに化合物が移行するばどの支障が生じないよう余裕をみた段取りをする。
②下地処理後は十分な乾燥時間をとる
③使用建材も事前の養生が効果的なものがあるのでその時間もみるようにする。
④丁寧なシックハウス対策には、工期に余裕のあることが大切なので、この点につき施主の了解を得るようにする。
標準契約書式の利用
リフォーム工事の契約に察しては、住宅リフォーム推進議会が制定した「住宅リフォーム工事標準契約書式(小規模工事用)を利用する、または、この方式を取入れた契約の方法が有効であるのでできるだけ参考にする。
工事施工上の問題
施工計画書、材料リストの提出
内装材料、工法が決定し、施工にかかるに察しては、通常提出する施工計画書等の他に、別に示す材料リスト(略)を提出し、施主の承認を受けるものとする。
ホルムアルデヒド等の移行防止の措置
施工に用いる内装材料等に、他の資材からホルムアルデヒドなどの揮発性化学物質が移行する事のないよう次のような点に注意する。
①材料の保管、運搬の際に移行を受けることが無いよう注意する。必要な場合は、材料をプラスチックの袋又は容器に入れて移行を防ぐなどの措置を講じる。
②同じ現場で他の工事の施工が並工して行われる場合は、建設業者、他の工事業者等と打ち合わせをしっかりと行い、内装材料や仕上げ後に他からホルムアルデヒド等の移行が起こらないよう措置を講じる。
近隣に及ぼす被害の防止
リフォーム工事のl施工に当たっては、近隣に被害や迷惑を及ぼすことのないよう十分な対策を講じる。とくに、次のような問題が起こらないように注意する。
①外装の塗装等で生じる揮発性化学物質により近隣の居住者に迷惑を及ぼすこと。
②工事に使用する建材の臭い等が近隣の人々に不快感を与えること。
③工事に伴う、音、振動、粉塵等が近隣の人々に迷惑を及ぼすこと。
内装仕上げの各工事の留意点
内装仕上げの各工事は、施工仕様に基づき、それぞれ所定の工法及び標準施工法等にしたがって行うが、その工事については、次の点に注意して行う。
①溶剤系の接着剤、塗布剤を用いる工事は、施工後換気により揮発性物質がなくなるまでの時間を取り、他の仕上げに揮発性物質が移行しないように注意する。
②下地調整の施工後は、下地処理剤が十分に乾燥するまでの放置時間をとり、室内の換気にも心掛ける。
③施工時は常に換気に注意する。ただし、壁装工事では、接着が完了する迄の養生時間をとった後に換気を行う。張替え工事の場合は、とくに、施主又は居住者に、壁紙が接着し終わる迄は工事中であることを良くご理解頂くことが大切です。
④現場の他の部分で溶剤系の物質を使う工事が行われているような場合は、溶剤の汚れが付いた作業服や、道具、機器類がその内装工事の現場に持ち込まれないように注意する。
工程写真のの撮影
工事中の揮発性化学物質放散に関係のある作業については、次のことを考慮して工程写真を撮影し保管する。報告書を提出する際はできるだけその写真を添えるようにする。
①下地の放散等級区分の表示とその現場の状態
②使用する建材の放散等級を表わす表示とその建材を用いて施工する状態
③施工完了の状態
喫煙の禁止
内装仕上げの現場では喫煙をしない。
簡易測定方の利用
施主又は居住者との打ち合わせによって、ホルムアルデヒドの簡易測定法を採用し、施工前、施工後の室内濃度を報告するのは有効な方法です。
施工完了後の措置
使用材料と工法の報告書の提出
仕上げに用いた各種の材料については、施主に、材料名、素材、ホルムアルデヒド発散の等級・区分・
JIA JAS等の表示、国土交通大臣の認定、建材関係団体の表示等を記載し、また、施工方法を記した報告書を提出する。報告書の参考例は別に示します。
シックハウスの規制を受けない建材等
建築基準法によりシックハウス対策の規制を受ける建材は、国土交通省告示第1113号の第一種ホルムアルデヒド発散建築材料、同第1114号の第二種ホルムアルデヒド発散建築材、同第1115号の第三種ホルムアルデヒド発散建築材料であり、これに指定されていない建材等は制限を受けません。
内装施工者にとって身近な制限をうけない資材類を挙げてみると以下のとおりになります。
①襖紙
②ホルムアルデヒド水溶液を用いていない建具用でん粉系接着剤
③カーテン
④プラスチック系床材料
⑤カーペット
⑥ブラインド、スクリーン等
⑦石こうボード
⑧繊維混入けい酸カルシウム板
⑨しっくい、コンクリート、モルタル
⑩ガラス
⑪繊維強化セメント板
⑫鉄銅、アルミニウム、金属板
⑬パテ
⑭コーキング剤
シックハウスの規制を受けない建材等であっても、換気システムの採用、化学物質を低減させようとするベークアウトを取り入れて、空気をきれいにするなどの
シックハウス対策を心がけましょう。
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